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興味半分の極み管理人―ヒジリの行き当たりばったりな日々の一端を載せております。
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 週には満たないけどお久しぶりです。ブログの更新ペースがあまり良くなくなってきたなぁ。
 体調を崩したり、想像以上に忙殺されたり、怠惰な私なりに地獄を味わってきました(壊)。日記を書く時間を削って創作できるだけでもまだありがたい方ではあるのですがね。

 とりあえず、書きためた分を放出してみます。まずはバトンから。
 求めし道の方はまだ今しばらくお待ちください。




【創作競い合いバトン】

・創作キャラを2人(+ツッコミ1人登場もOK)登場させて,なりきって答えて下さい。
・喧嘩乱闘第三者乱入何でもOK。

 指定キャラ
 チャンピオン:根性の漢 バクサン=ドンチュ
 チャレンジャー:不死身の冒険者 ホレス




1,お2人のお名前を教えて下さい。

2,2人のうち,頭がいいのはどちらですか?

3,運動神経がいいのはどちらですか?

4,歌が上手いのはどちらですか?

5,モテるのはどちらですか?

6,動物に好かれるのはどちらですか?

7,運が悪いのはどちらですか?

8,ここなら相手には負けない!って所はありますか?

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 アイディアを膨らませている内に、気づけば二日経ってました。
 果たして出来の方は……?

 創作で行き詰まっている時は、日記にも中々手が回りません。そんな理由で、一昨日昨日と日記を欠かしておりました。
 文章書く分には同じところが働いているのかも??




 さて、こたつむり様より頂いてきた、創作競い合いバトンですが……まさかのバクサンとホレスが指定にあったので、色々と彼らの設定を見返しておりました。

 結果、できてしまったのが以下のプロローグです。

 ホレスの力を支えているものが何であるかを意識したつもりです。
 その分、ネタばれ要素は幾分ありますが……

 続きから読めます。

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Q8.戦ってみると超楽勝、その原因は?

 僅かばかりのパンを持ち込んだだけの、五日にも渡る旅路の果てについに少年は恩人の女性の下へと辿り着いた。
 だが、その終わりで待ち受けていたのは、死にも等しい程の絶望的な状況であった。

 周囲を囲む屈強なる悪漢達。少年に比して体格も経験も圧倒的な違いを見せるだけの手練の集まりである事は容易に読み取れる。
 そんな男達と一人でもまともに戦えば、おそらく少年の命はないだろう。

「死ねやぁ小僧ォオオッ!!」

 怒号と共に、全員が彼を殺そうと一斉に動き出す。
 少年に向けて、頭目を含む五人の人攫いが、手にしたクロスボウの先を向けてその引き金を引いた。
 それは狙いを違える事なく、少年に向けて殺到していた。

「……。」

 だが、少年は命を奪う五本の矢が迫る様を目にして尚も、微塵もその表情を歪ませる事なく佇んでいた。
 そうして怖れずに、彼は目の前へと手を差し出していた。

「…ぐぇっ!!」
「!?」


 直後にそこに立っていたのは、放たれた五本の矢に射抜かれて絶命している同胞の姿であった。


「…おいっ!右!!」
「…何?…っ!!」

 そして、仕留めたと思っていた相手の姿が、今しがた倒れた仲間が立っていたはずの位置に不意に現れていた。
 その手には、淡く紅い光を微かに帯びた檜で拵えられた杖と、見慣れた食器を大きくした様な三叉の鍬が握られている。

「ぎゃっ!!」

 不意に、少年は相手に身構える暇も与えずに、すぐさま右手の鍬の先を人攫いの脇腹へと突き刺した。
 その男が、激痛のあまり手放したクロスボウを、すぐさま引き抜いた鍬で回収し、手元へと手繰り寄せる。
 そして、左手の杖を収めつつそれを手にとっていた。

「こいつ…っ!!」

 致命傷とは至らずも、またしても仲間を傷つけられた。
 残りの三人は、崩れ落ちた仲間の側に立つ敵に向けて、再び矢を放とうと構えた。
 今度は先刻の奇妙な杖の力もない。次こそ確実に針鼠の様にしてやる。


「ヴィード・デラム・セロン・セヒト・リハト・メタリル・シュローレ…」
「…っ!?」


 そう思っていたその時、突如として彼は咆哮を上げる熊の絵柄の巻物を片手で広げながら、何かの呪文の様な奇妙な言葉を紡ぎ始めた。
 成長期に差し掛かった少年の少し低みがかった声色が、微かに光を帯びる巻物の紙面に呼応する様に、不思議に響き渡る。
 同時に、彼の輪郭が徐々に周りの光景へと溶け込み始める。

「何の真似だ!?」
「えぇい!やっちまえ!!」

 少年が唐突に起こした奇怪な行動と現象を前に、人攫い達は一瞬戸惑いを見せていたが、すぐにクロスボウの先を向けて、一斉に矢を射掛けた。
 だが、彼はその身に帯びた不思議な光に委ねるままに、一歩もその場から動こうとしなかった。

「…!??」
「な…っ!?どうなってやがる…!?」

 しかし、射られた矢はそのまま少年の体を通過して、その奥に佇む木々へと突き刺さっていた。
 そして、少年自身の体には、矢の一本どころか、かすり傷一つ見受けられない。

「こっちだ。」
「…な…!?…てめ…ぇっ!?」

 あたかも幻の様に矢をかわしてのけた少年の姿に完全に目を奪われていたその時、不意に後ろからその当人の声が聞こえてきた。
 その右手に握られている、奪ったクロスボウの先端が、手下へと真っ直ぐに差し向けられていた。

「…ぐぁ…!!」
「…お…おいっ!!……この…野郎ぉおおおっ!!…出てきやがれ!!」
「どこだ…どこにいやがる!!」

 気づいたその時には、一人の手下の右手に一本の矢が深く突き刺さっていた。
 これで三人が、少年によって倒されている。
 怒りに任せて再び襲い掛かるも、その攻撃は彼の幻を虚しく通り過ぎるだけだった。

「…ぎゃっ!!」

 そうして的を外し続けている中で、少年が射た矢がまた一人の手下を捉えた。
 それは敵の二の腕を貫いて、その役目を完全に殺していた。

「…そこかぁあああっ!!」

 だが、今の一射で少年は自らの居場所をも示してしまった。
 頭目は歓喜とも怒号とも知れない程の咆哮を上げながら、斧を手にして少年へと襲い掛かった。

「…ちっ!」

 彼がすぐさまクロスボウで迎え撃つも、頭目は斧でそれを叩き落とした。
 次いで投げはなった銀色の鍬も、振り下ろされた斧によって粉々に砕かれていた。


「終わりだなァッ!!クソガキィイイッ!!」


 幾度の牽制も虚しく、勢いを殺す事なく迫ってくる。
 これまで幾人もの罪無き人々を殺めてきた斧による渾身の一撃が、少年に叩きつけられた。


「でぇりゃああああっ!!」


 鍛え抜かれた剛腕が操る肉厚の刃が、空間ごと全てを二つに別ち断った。
 そこにそびえ立つ大樹が、斧が打ち下ろされた部位より縦に裂けて、左右に泣き別れとなり地面へと倒れた。


「…んだと…?」


 だが、そこに少年の亡骸はなく、手応えも感じられない事を受けて、頭目の男は疑念と共にそう呟いていた。
 文字通り、その一撃が空を切っていた事を、男はすぐに感じ取っていた。

「残念だったな。」
「……っ!!」

 不意に、真後ろから何の感慨もなく発せられる少年の声を聞き、男は思わず振り返っていた。
 だが、その瞬間に見えた少年の右手に取られていた弓に番えられた矢が、光の如く飛来した。

「…この、野郎…!!」

 男には、突如として背後から放たれたその矢をかわす術などなかった。
 肩口を射抜かれた激痛のあまり、その顔が苦悶に歪む。
 それでも、男は痛手を負った事で更に怒りを深め、執念だけで体を立ち上げて尚も襲いかかろうとしてきた。

「諦めろ、あんたらは負けたんだ。」

 だが、少年はそんな彼を無感情で見据えながらそう告げて、容赦なく再びクロスボウに矢を番えた。
 そして、迫り来る獣の如き男へ向けて、引き金を引いた。

「…がぁあっ!!」

 今度は足に矢が突き刺さり、男はバランスを崩してそのまま前に倒れ込んだ。

「…これで終わりだ。」

 それを最後に、少年は武器を収めて倒れ伏した敵から踵を返して歩き出した。
 もはや彼らが自分に害をなす力を残していない今、これ以上戦うつもりはなかった。




 ふぅ、Q8終わってもまだ終わらないのなぁ…。
 続きにてエピローグあります…。


 しかし、十三日月か小望月か分からないけど、今日は月が見えなかったなぁ…(がっくし)
 西側に見えてから少しばかり楽しみにしてたのに…、平日で雨がこんなに恨めしく思えるとはねぇ。

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Q7.ついに魔王と対決!相手に向けて一言どうぞ!

 暗き闇を内に宿した深い森。
 だが、人より怖れられるはずのその秘境には、本来あるべき静寂などなかった。

「…私をどうする気!?」

 切り倒された木々を組んで作られた大きな小屋の中で、ディルジは目の前の男へとそう怒鳴っていた。
 逃げられぬ様足かせを付けられて、狭い一つの部屋に閉じ込められていて尚も、彼女は未だに獣同然の男達に屈する様子はなかった。。
 だが、後ろに一つ結びされた光の煌きを宿していたはずの長い金糸は、ここ数日間…今に至るまでに些かその輝きを失っている。

「さぁな。まぁテメェは随分と上玉だからなァ、何処行っても可愛がってもらえるだろうぜ?」

 彼女の怒声に対して、下卑じみた笑みを浮かべてその顔を近づけながらそう告げる大男。
 人攫いの主格たる彼のその目は悪意の闇に染め上げられたが如く、慈悲の輝きの欠片もない。鍛え抜かれた体が、子分達と同色の緑の覆面フード付きの外套と、土色の衣服を内側から押し広げ、その輪郭を露わにしている。
 己のためだけに力を振るい、そして自らのもたらす災禍によって人が悶え苦しむ姿こそに愉しみを見い出す。
 まさに、正真正銘の悪党と称するに相応しい悪漢であった。

「皆は…?皆はどうしたの!?」

 自分がこの先に辿る惨状から、同じく攫われた娘や子供達の事が脳裏を過ぎったのか、ディルジは詰め寄らんばかりの勢いでそう尋ねた。

「知るかよ。今頃親分の下で”幸せ”に暮らしてんじゃねえのか?何もできねェくせにいちいちうるせえんだよ。」

 この場には既に、男と自分以外の何者もいない。今の男の言葉も相まって、既に攫われてきた者達が、悪意の肥やしとして更なる地獄へと送り込まれた事を示しているかの様であった。

「人でなし…!」

 奪われた女子供達が感じる、家族から引き離される苦しみを、この男達はまるでわかっていない。
 自分達の悦びのためならば、力弱い者を平気で虐げ、嘆きに耳を傾ける事もない様は、まさしく人の情を忘れた者の姿に他ならない。
 だが、そうして里の者達を悲しみへと引きずり込む全ての元凶を作った男に対し、ディルジはその美しい顔立ちを怒りに歪めて、そう毒づくのが精一杯であった。

「…いい度胸だなぁオイ。」

 もはや恐怖に打ち震えるしかないはずのこの状況の中で、尚も自分達に対する憤りを露わにしてくる少女を眺め、男はどこか呆れた様な、感心した様な表情を見せながらそう呟いていた。

「けどな、そんなじゃじゃ馬じゃあ値段も思いっきり下がるってもんだ。向こうで可愛がってもらえる様に、”しつけ”しなきゃあなァ?」
「…!!」

 だが、不意に男が不敵な笑みを浮かべたと共に、ディルジの双肩にその大きな手が置かれた瞬間、彼女の顔から血の気が一気に引いた。

―い…嫌……っ!!

 己の体が男によってゆっくりと持ち上げられる事が、その企みを明確に少女に示していた。
 あくまで逆らうという自分の気質が、逆に男の気に触れてしまったらしい。
 男が本来持ちうる力による支配欲を目の前にして、ディルジはただ恐怖にすくみ上がるしかなかった。



「お…大兄貴!!大変…だっ!!」



 だが、怖れていた結果が訪れようとしたその直前に、別の男が慌てた様子でここに駆けつけてきた。

「オイオイオイ、一体なんだってんだァ!?」

 意識を外に向けると、怒号や悲鳴が上がってやけに騒がしく感じられる。
 確かにただならぬ事が起きている様だ。

「…誰か…来る?」

 それが自分達を攫った男達に明らかに害をなしていると理解して、ディルジは思わず怒号が飛び交う方に目を向けながらそう呟いていた。

「テメェは黙ってろ!!」
「…きゃあっ!!」

 少し声色に期待を乗せていた事が男の気に障ったのか、彼女は思い切り頬を張られ、床に叩き伏せられた。

「だ…駄目だ!!あのガキ…止まらねぇ!!」
「…ガキ…だとぉっ!?」

 だが、男の苛立ちを他所に、突然の来訪者は着実にこちらへと近づいてきていた。


「あ…あなた、まさか…!!」


 そして、丸太を組み上げて作られた壁が、音を立てて崩れさったその先に、ディルジは見覚えのある姿を見い出していた。


「ようやく、辿り着いたな。」

 裾が擦り切れた黒の外套の下に橙の旅装束を纏い、鈍い輝きの銀の髪をもつ少年が、周りを取り囲む人攫い達の事など気にも留めない様に、ゆっくりとこちらへと歩いてくる。
 斜めに傷跡が走るその顔立ちにはいまだ幼さを残しながらも、その目は険しく正面を見すえ、ただ悠然と近づく中でも油断ない雰囲気を醸し出していた。

「何だテメェは!!俺らのシマで何ふざけた真似を…!!」

 たった一人でこの場を目指してた少年に対し、頭目の男はそう怒鳴りつけてきた。
 ここに至るまでに、数人の仲間達が彼によって倒されている事実も相まって、心底の怒りを全面に出している。

「あんたらが売った喧嘩だろうが。俺はただ、降りかかる火の粉を払っただけの話だ。」

 だが、少年はそんな恐ろしい形相を前にしても顔色一つ変えず、ただつまらなそうにそう言い放っていた。
 この様な人里離れた樹海の最奥にいるのも、自分を助けた少女を人攫い達が連れ去ったからであり、途中で小競り合いを繰り返したのも、彼らが邪魔してきたからに過ぎない。
 元より少年には、ディルジ以外の誰にも用はなかった。ただ彼女を里に帰せればそれでよかった。

「このクソチビが!!落とし前つけやがれ!!」

 しかし、それが結果として、人攫い達との真正面からの衝突を意味する事になるのは言うまでもない。
 頭目の怒声と共に、四人の手下達が一斉に少年を取り囲んだ。


「…邪魔するというなら容赦はしない。全員徹底的に叩き潰してやるだけの事だ。」


 それでも少年は全く臆する事なく、ただ五人の人攫い達を細めた眼で見据えて、そう告げるだけであった。


「なめんなァ、クソガキァアアアアアアッ!!」


 その一言で、ついに堪忍袋の尾が切れたのか、男達の表情は、もはや悪鬼の如く凄まじいものとなった。


「ホレス!!」


 同時に少年に向けられる殺気が膨れ上がり、やがてそれは行動となって彼へと襲い掛かった。
 その様を見たディルジの叫びが、森の中に響き渡り、やがては樹海の緑の中に消えていった。





 …これで半分なのな。
 実は、Q8のあとも続ける位じゃないと、うまくまとまらなくなってきました。

 まずい、もはや問の意味が…(壊)




 …やれやれ、もし8/5が潰されたら、旅にでも出てやる~…とばかりの勢いです。
 更にお金の無駄をする事にはなりましょうが…ね。
 

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Q6.とうとう魔王の城へ。すると魔王の護衛部隊が出現!必殺技で全滅させよう!その必殺技の名前は?

 この自然の迷宮を形作る木々が落とした役目を終えた葉と小さき者達の亡骸よりなる、柔らかい樹海の土。
 初めはおぼろげにしか見えなかった足跡が、奥に進むにつれてよりくっきりと残っている。
 獣達が残した物とは明らかに違う、その様な足跡。


―ここだ、間違いない。


 無造作に打ち捨てられた、自然に還らぬ数々の品は、この辺りで人が住まう事を示唆している。
 備えなきままに旅立ってから五日、ついに少年は探し求めていた場へと辿り着いた。
 食糧が底をついて、飢えの影に脅かされながらも、力強い生を感じさせる程に、彼のその姿はしっかりとしていた。


「何だァ?どうしててめェがここにいるんだよ?」


 そのとき、僅かに疑念を帯びたどこかで聞いた様な野太い声が少年の耳に届いた。

「…!」

 すぐさま声がした方に向き直り、呼びかける者の姿を見た瞬間、少年の目が一瞬見開かれた。

 数多くの略奪を働く中の狂気の余り、醜悪に歪んだ髭面の顔に小山程の大きさもあろうかと錯覚させる、鍛え抜かれた巨躯。
 それは、紛れもなくあの里を襲ったならず者達の一人に相違なかった。

「ディルジは…どこにいる?」

 助けるべき少女はきっとすぐ近くにいるに違いない。
 その敵の姿を見てその様に確信を深めながら、少年はそう尋ねていた。

「俺様に殺されて死なずに済んだってのに、懲りねェガキだなァ。」
「………。」

 その右手に摘む様にして握られた斧によって、あのとき危うく身を二つに分かたれるところであった。
 だが、それに対して特に感情も湧き出てこないのか、少年の緑の瞳は正面に立ちはだかる大男を、静かに映しているだけであった。

「バカだなァ、全く。睨んだところで何もできねェだろうが、カスガキ。」

 あの時と同じ様に、全てを貫かんばかりに真っ直ぐに見据える彼に一度でも恐れを覚えた事が思い出されて馬鹿らしくなったのか、大男は自嘲した様に顔を歪めながら後ろをちらと見やった。
 程なくして、この場に気配を潜めていた大勢の者達が立てる音が耳に入ってくる。


「ま、せっかくここまで殺されに来たってんだ。せいぜい可愛がってやるよォオッ!!」


 緑のマントの覆面つきのフードを被り、土色の衣服を身に纏う。樹海の中に溶け込む様な出で立ちをした、十数名の道から外れた男達の嘲る様な視線が一斉に少年へと向けられる。
 この場に現れた仲間達の姿を認めて満足しながら、大男は彼に向けてそう告げながら高笑いした。


―全く、冗談じゃない…


 耳に感じる小さな違和感は既にいつからかあった様な気がした。だが、ここまで多くの者達が潜んでいるこの状況まではどうしても予測したくなかった。
 相手は人の不幸を招く悪行を平気で行える悪党の集団。体格こそまちまちであるが、残虐性が極まったその容赦のなさは、十分脅威に値する。
 略奪の中で鍛え抜かれたその力は、おそらく一人一人が少年のそれを上回っている事だろう。


「…ふん。」


 しかし、改めて思い直すと、この様な窮地もそう怖れる程のものではなかった。
 一つの誤りが決定的な破滅をもたらす死線も、これまでの戦いに比すれば今更の事に過ぎない。
 冷静に様子を伺いながら、一歩踏み出したその時であった。


「……っ!!」


 不意に、踏みしめた足元で硬いものが押し込まれる様な感覚がすると共に、少年は遠くで張り詰められていた弦が弾かれる音をその耳で聞いた。
 同時に、上の方から何かが風を切る音と共に彼目掛けて飛来し、肩を掠めてそのまま地面へと突き刺さった。

―罠か!!くそ…っ!!

 それは、置かれた引き金を引いた者自身を射掛ける弓より放たれた、一本の矢であった。

「今だ!!やっちまえっ!!」

 肩口に傷を負って激痛に顔を歪めた少年を見てそう叫びながら、大男もまた大斧を振り上げて彼に向かって襲い掛かった。

「…えぇいっ!!」

 自ら敵の陥穽へと踏み込んでしまった己に、一瞬怒りを感じた様な気がした。

―どうする…!

 だが、ここで冷静さを欠いてしまえば、それこそならず者達の思う壺である。
 矢に抉られて血が流れ出ている肩から手を離しながら、少年はすぐに立ち上がった。

「くたばれやぁ、小僧ォオッ!!」

 同時に正面から迫る大男が、既にそこまで距離を詰めていた。
 怒号とも歓喜ともつかぬ雄叫びを上げながら、手にした大斧で大地を少年ごと叩き切らんと打ち降ろす。


「…っ!!?」


 だが、次の瞬間、大男は驚愕に目を見開いていた。
 この一撃に込められた気迫は災いの暴風にも似て、逃れられ様もない圧倒的な力を以って今度こそ確実に少年の命を奪うはずであった。 

「…く…!」

 しかし、振り下ろされた斧の勢いは少年の目の前で逸れて、虚しく大地を削り取っただけであった。
 激痛と衝撃にうめきを上げる少年が掲げていたのは、何者にも看取られずしてこの世を去った冒険者の持っていた重厚な大盾であった。
 長き時を経て脆くなった表面に大斧が刻んだ傷から広がる亀裂が全面へと広がり、軋みを上げ始めている。


「…そこ、だっ!!」


 大男は斧を渾身の力で地面に打ち下ろした体勢のままただその動きを止めている。その好機を逃すはずもなく、少年はすぐさま正面に掛けた。

「うげぇええええっ!!」

 壊れ逝こうとしている大盾を、その呆然とした表情を浮かべる顔に向けて全力で叩きつけると共に、大男は奇声と言うべき悲痛な叫びを上げながら地面へと崩れ落ちた。
 その直後、少年が手にした盾はついに限界を迎えて粉々に砕け散った。

「あ…兄貴!!」
「て…てめぇ!!よくも…!!」

 自分達が慕う兄貴分たる男が、小生意気な小僧一人によって倒されたのを見て、ならず者達の顔から嘲笑の表情が消えた。

「ぶっ殺してやる!!」
「やっちまえ!!」

 そして、代わりに浮かべられた見る者をたじろがせる憤怒の形相に違わぬ勢いに任せるままに、彼らは一斉に少年に襲い掛かった。
 まとめるべき者が倒れて統率を失ったものの、相手が子供である事が男達の気に障ったのか、怒りによって力を増して更なる脅威へと転じている。
 まさに怒涛の如く押し寄せてくる彼らが至った瞬間に、常人ならばひとたまりもなく、たちまちにして原型を留めぬ程にその身を砕かれてしまうだろう。

「はっ、好都合だ…!」

 だが、それを目の当たりにしているはずの少年は、その恐るべき者達を見ても表情を恐怖に染める事はなく、そればかりか、歓喜の声すら上げていた。
 いつしか右手には、先端に紅い色の宝玉が取り付けられている檜で拵えられた杖が握られていた。

「死ねよ!!」
「おらぁっ!!」

 少年の口元が微かに歪んだそのとき、激昂した悪党達が罵言と共に剣や斧で斬りかかってきた。

「……っ!!」

 彼らが取り囲んだその中心で、恐怖のあまり息を呑む音が、怒号の内で刹那の間に鋭く鳴った。

「や…やめ…がぁあああああああっ!!」

 次の瞬間、眼前に迫る死に怯えた声と共に、つんざく様な断末魔の悲鳴が辺りにこだました。

「…!!」
「あ…兄貴っ!?」
「な…何で…!?」

 だが、そこにあったのは少年の亡骸などではなく、幾つもの傷を刻み込まれて血塗られた、あの大男の巨躯であった。
 武器を向けた相手がいつのまにか予期せぬ人物とすり替わっているのを見て、更には自らの手で兄貴分を殺めてしまった事で、人攫い達の間に動揺が走る。
 うろたえにうろたえるその様は、先程までの恐るべき殺気など垣間見せぬ程に、実に滑稽極まりないものであった。

「あのガキが、いね…ぇっ!?」

 殺すべき相手を見失い、皆が必死に辺りを見回す中、誰かが言葉を詰まらせると共に驚きに表情を染め上げた。
 つい先程兄貴分たる大男が立っていたはずの場所、そこには何故かあの少年の姿があった。
 右手にとった杖の先についている紅い宝玉から淡い光が発せられている。どうやらその杖の魔力が、今の一瞬の出来事の引き金になったのだろうと、容易に予測がついた。


「終わりだ。」


 だが、またしても小賢しい真似をした少年に復讐を果たす時間は与えられなかった。
 彼が荷物の中から取り出した一つの小さな壷が宙を舞い、ならず者達の中央へと投じられる。


「や…やべぇっ!!離れろ!!」
「…何だって…っ!?」


 それが発する危険な何かを感じ取った誰かが皆に注意を促すも既に遅く、地面へと落ちた壷が砕けて、その亀裂から閃光が走る。


「が…ぁあああああああっ!!!」
「ぎゃあああああっ!!」


 次の瞬間、壷の中に満たされた火薬が砕かれた衝撃で一気にその縛を解かれ、大爆発を起こした。
 爆音と共に広がる爆炎が、ならず者達を襲い、奔流の内に巻き込んだ。


「か…火薬壷…!…ぐ…ぁあ…!」


 激昂して皆で一斉に少年へと殺到したがために、彼らはその一点の周りに集中していた。
 その結束力が裏目に出て、少年が投げ放った火薬壷を満足にかわす事は叶わず、殆どが爆発へと巻き込まれて倒れている。


「…く…そ…!!どこに……!」


 辛うじて深い傷を負わずに済んだ者が辺りの様子を伺うも、もはやあの少年の姿を見つける事は叶わなかった。





 …何なんだ、このとんでもない長さは(壊)
 合計で二百行とか、昔の一話に十分匹敵しますよ、コレ。

 一つのお題を相応の長さに収められない辺り、私の執筆能力の低さが際立ってますな…。

 トルネコさんでどっかのダンジョン冒険記でも書いてみたくなりますとも。その内一話=1Fで99階ダンジョン話にでも挑戦してみようかねぇ。それに対して、DQIV本編はやっぱり私には向いていないみたいですねぇ(薄笑)。
 まぁしかし…外伝(不思議のダンジョン)ばっかりで本編(ナンバリングタイトル)離れが深刻だなぁ、と思う今日この頃です。




 直下の愚痴の記事を書いた後とは思えないテンションかもです…。
 気持ちの浮き沈みが激しいので、本当に時々自分が何をしたいのか、何を考えているのか自分でも分からなくなるんです…。
 だからこのごろもこっちにエネルギーが逸れてしまったりとか。

 物忘れが激しいのは自分自身を度せないのも原因の一つなのかもしれませんね。

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