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興味半分の極み管理人―ヒジリの行き当たりばったりな日々の一端を載せております。
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 何となく面白そうなバトンを見つけて、気まぐれで今日完成させたので上げてみます。
 設定練成中のオリジナルキャラ―濃霧のユーリックを用いてます。

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なりきりバトン03(戦闘編)バトン

ひ弱な男の子と仲間になった! 
モンスターが現れたぞ!

Q1「うわぁああ! Lv.3のモンスターだ……!」

 薄茶けたローブを纏い、節くれだった木製の杖を携えた理知的な雰囲気の装束。そんな旅とはおおよそ無縁の出で立ちをした少年が、眼前に光る視線を受けて絶叫していた。
 現れた強力な化け物を前に、彼は小さく舌打ちをした。所々の破けた個所を布きれで修復された、古びた濃紺の外套を纏った長身痩躯の青年。濃霧の名で知られる凄腕の冒険者―濃霧のユーリックと呼ばれる男である。

Q2「こ、こんなモンスター倒せないよぉ・・・。」

 幼い少年が言うLv3のモンスター―それは、闇の中で互いを喰らい合った末に生き延びた魔物が得た結果だった。段階を踏む毎に飛躍的な力を増した彼らの力は、辺りに徘徊する魔物のそれとは次元が違う。

Q3「うわあああ!モンスターが襲ってくる!追いかけてこないでぇ~!助けて~!」(逃)

 天敵とも言うべきこの魔物に真っ向から立ち向かうのは確かに愚行である。逃げ惑う少年の後を追うように、ユーリックもまた脅威から踵を返して走り出した。
 だが、運の悪いことに辿りついた先は、多くの魔物の群れが眠る巣窟―モンスターハウスだった。この先に飛び込めば今度こそ命はない。

Q4「ハァ…ハァ…。 ぼ、僕は君の援護をするよ……」

 必死になって遁走した甲斐もなく、魔物は着実にこちらの気配を読んで後を追ってきている。相対するのも時間の問題だった。もはや逃げられないと悟ったのか、少年はその足を止めて杖を構えた。形振り構わずに走って叫んだためか、その息はかなり荒げられている。

Q5「こんな僕だけど…君をしっかりサポートできるように頑張る…っ」

 覚悟を決めた少年の意思に応えるように、ユーリックは外套を翻しつつ腰に差した剣を抜いて右手に取った。重厚な刃に仕上げられた黄金の剣――だが、その絢爛であるはずの刀身は深い曇りを帯びている。
 その切っ先を魔物へと向けるユーリックの顔には、疲弊した様子も重圧に臆した様子もなかった。

Q6「とと、とりあえず、君を守るシールドの呪文だ…っ え~と…『バリア』!」

 魔物の足音が段々と大きくなっていくにつれて、少年は心臓が飛び出さんばかりの勢いで動揺を強めていた。その中で僅かに残った理性を集約して、魔法の言葉を紡いだ。
 空いた左手に緑の光が集約し、光輝く盾の形を成す。その重みとしっかりとした感触が、この頼りなげな少年のものとは思えぬ確たる力を与えている。

 魔物が闇から現れるその刹那、ユーリックは自ら先手を打って間合いを詰めて、黄金の刃を振り下ろした。鉄などとは比較にならぬ重みを持つ金の一閃が、魔物を打ち据える。

Q7「わぁ!;; 君すり傷ができてる;;大変だー!『ヒール』!『ヒール』!『ヒ~ル』!」

 だが、次の瞬間、金属を打ちつけたような甲高い衝突音と共にユーリックの体は後方へと弾き飛ばされていた。緑光の盾を掲げたまま、右腕を引きずるようにして迷宮の床を滑ったために傷を負っている。
 旅慣れた冒険者には大した傷ではなかったが、荒事とは程遠い少年にとってはそんなものでも見るに堪えない生々しさがあったに違いない。顔面蒼白な面持ちで必死になって治癒の魔法を紡ぐ少年を見ても、ユーリックは何も感じていないが如く、表情一つ変えることはなかった。

Q8「わわ!;MPがなくなっちゃた…!」

 傷痕を完全に消し去らんと慌てるあまり、少年は己の魔力をすべて使い切ってしまった。同時に、ユーリックの左手に作られていた光の盾が音一つなく崩れ去った。先の一撃を受け止めた盾越しに、Lv3と呼ばれるだけの上位の魔物の力を痛感していただけに、その状況の危うさも自ずと解していた。そこに至るまでが滑稽な経緯ながらも、堅牢な守りの力を失った今、まともに魔物の攻撃を受けてはひとたまりもないのは変わらない。

 まともに考える暇すら与えぬままに、魔物が再びユーリックへと牙を剥いて襲いかかる……

Q9「倒してくれたんだね…ホ…っ」

 だが、その爪牙が青年の体を切り裂かんとしたその時、いつの間にか彼の左手に取られた杖が魔物の眉間へと突きつけられていた。その先端に取り付けられた宝珠から発せられた光が閃くと、魔物はその場に縫い止められたが如く動かなくなった。

 動きを封じられた魔物を黄金の剣が斬り裂き、その体を闇に帰したと共に、少年は糸が切れたようにへたりこんでいた。

Q10「僕、君の役に立ててるかな・・・こんな僕とパーティでよかったの?」

 窮地を越えてまた迷宮を暫く進んでいる内に、少年がそう尋ねてくる。だが、ユーリックは何も答えなかった。

Q11「ごめん…僕もっとしっかりするよ。」

 その沈黙を不快の意味と思ったのか、少年は先の焦燥振りを恥じて俯いた。
 だが、彼も元はと言えばこのような冒険の場に来るべき人間などではない。ユーリックに彼を責める気など全く無かった。とはいえ、余計なことを言って空喜びさせてやるつもりも毛頭無かったが。

Q12「次は…どこへ行くの?」

 迷宮自体は長く連なっているが、階層を下り続ける意味ではほとんど一本道に等しいものだった。それでも、彼が言うとおり、幾つかの分かれ道となる場がある事もユーリックは知っていた。
 そして、その行き着く先が同じという事も……。

Q13「そ、そこにいるボスは手ごわいって有名だよ…大丈夫?」

 尋ねられるままにこれから通るべき道を告げると、少年は伝え聞いた話を怖じた様子で語りつつ、心配そうに首を傾げた。
 不可思議の法則が支配するこの迷宮に普く魔物の群れ。滅びと蘇りが支配する地に住まう魔物は何度でも蘇る。それは、ボスと呼ばれる類の強大な魔物もまた同じである。既にその強さを身を以って味わって、命からがら逃げてきた先客の言が思い浮かぶようだった。

Q14「…君がいるから大丈夫かな?」

 それでも迷いなく歩を進めているユーリックを見ている内に、少年は心の内に張り付いていた不安が少しずつ氷解していくのを感じていた。一歩間違えればその身を砕かれる程の力を持った魔物を相手に全く動じずに、手にした道具や辺りの地形を利用して鮮やかに対処してみせたその実力は、紛れもなく一流の冒険者のものだった。

Q15「僕も頑張るから…っ!行こう・・・っ!」

 意を決して前に進む少年に頷きを返しつつ、ユーリックは先に見えた魔物を見据えて右手を前に差し出した。そこに取られていた弩から放たれる矢が、飛びかからんとする敵の体を射抜きその動きを止めた瞬間、今度は背に差した槍を取り一突きの下に仕留めた。

 凄腕の戦士や熟練の魔導師、はたまた選ばれし勇者のように、絶対的な力を持つわけでもない――人たる身そのものを体現したような冒険者「渡り人」。彼らの冒険のほとんど尽くは、人目に映ることはなく、伝承として語り継がれることもなかった。確たる力に頼ることもなく、身一つで生き抜いてきた彼らの強さは、神域にさえ達しているものである事も、誰しも知る由はなかった。

 少年が吉報と共に己の故郷に帰りついた頃、ユーリックは再び姿を晦ました。立ちこめる濃霧が晴れゆくように……。
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